

greeting
院長挨拶

寺崎内科・胃腸科クリニック
院長 寺崎 久泰
昨年の熊本地震からようやく1年が過ぎましたが、南阿蘇村にはたくさんの被害の跡が残り、たくさんの住民がまだ、不自由な生活をおくっています。しかし、その中でも少しずつ以前の日々日常に戻してきています。
当院は南阿蘇村の中でも地震の被害が少なかった地域(旧白水村)に位置しており、建物の被害もなく、地震直後より、通常の診療を行うことができました。この災害を通して深く痛感したことがあります。それは、たくさんの住人の方が、熊本市内や大津町の医療機関に通院されていたことであります。地震後、阿蘇大橋の陥落、幹線道路の中断により、この南郷地域(旧蘇陽町、高森町、南阿蘇村)は、陸の孤島となり、熊本市中心へのアクセスが困難となり、これまで熊本市内の病院に通院されていた住人、特に高齢者の方々がたくさん来院されました。当院でも治療でき得る、管理できる疾患の患者が、たくさんおられること、こちらで検査、治療できることを説明すると安心される方がたくさんおられました。当院で可能な医療の内容を十分に情報発信してこなかったことに気付かされました。それ故に、此の度、このホームページを作成、公開することにしました。この機会に、もう一度、当院で、力を入れている疾病、検査内容や治療について、発信していこうと思っております。
阿蘇地域は、熊本でも最も、医療人材が少ない地域ですが、私のこれまでの経験や人脈を通して、住人に最適な医療、情報を提供していく所存です。最後に、地震でお亡くなりになられた方々のお冥福をお祈りいたします。
experience
これまでの経験より
診療面:全身を見ること(臓器としてでなく)
平成6年当時は、日本で生体肝臓移植が少しずつ始まったころで、アミロイドポリニュロパチー(FAP)患者の肝臓移植患者はヨーロッパ(スウェーデン)、オーストリアに渡航し、1年位現地に待機し、脳死肝移植を受ける人がほとんどでした。術前の検査や術後の検査、拒絶反応や移植の合併症など、日本では経験した先生もおらず、手探りで診療を行い、時には、海外に患者を連れて行き、海外の移植外科の先生と相談しながら、約40名くらいの移植患者の診療に携わりました。その後、日本、熊本大学でも通常の医療として生体肝移植ができるようになりました。今では、通常の治療となっているのは喜ばしいことです。通常の消化器内科、内科医では経験できない診療、臨床経験を積むことができました。
研究面:遺伝子、生化学を基礎とした
もともと、FAPは遺伝性の疾患で、遺伝学の知識も必要です、遺伝子異常に伴う異常蛋白が病気を引き起こすため、タンパク質、生化学の知識も必要でした。さらに、異常蛋白が全身に沈着し、全身の臓器(心臓、腎臓、自律神経)の機能障害が、臨床症状でしたので、一つの臓器のみを診療する。臓器別診療には向かない疾患でした。診療科を超えたスキルが必要でした。
大学院での研究も、FAPの異常蛋白の沈着機構の解明として、遺伝子や生化学の研究を行い、学位を取得。この研究の一部は、熊本大学医学部付属病院の高度先進医療の一つとなり、現在も臨床検査医学講座の臨床教授として、学生講義も行っております。
大学院では、臨床の問題点をヒントに、仮説の設定から、方法などを考え、実験を行っていくという、地道な作業ですが、これは、現実の診療だけでなく、クリニックの経営などにも通じると思います。
共同研究の重要性
また、研究生活を通じて、薬学部の先生や臨床検査部の先生方と一緒に研究を行うことができました。医師は疾患のことは、理解していますが、生化学や薬学については薬学部の先生に相談するのがいいですし、検査部の先生方は、実験や蛋白の測定などが得意です。それぞれに得意な分野があり、共同研究にて多くの仕事ができました。今の診療でも、共同研究の延長と考え、看護師、検査技師、医療事務、薬剤師の方々との共同研究と思って、診療、経営していくと、円滑にいくのではないかと思っています。
